我が家のオーディオはSL-1200GAEとV-8030Sの一角を除いては基本的にデジタル系である。
普段聴く音楽のほとんどがデジタル音源。
聴く機会の多い順では、USB接続の単体DACでのNAS音源再生、ネットワークプレーヤーでのインターネットラジオ、それに加えてCDプレーヤ-でのCDもしくはSACD再生だ。TVの音声も光ケーブルで取り出した信号をプリアンプでDA変換して聴いている。
NASに蓄えられた音源はFLACフォーマットのPCMまたはハイレゾ音源。ネットワークプレーヤーで聴くインターネットラジオは高サンプリング周波数のMP3データ。TVはPCM音源であろう。例外はSACDのDSD音源かな。
それに加えて、僕は生粋の「石」屋である。
以上を総括すると、僕は「デジタル+石」で、その対極にあるのが房州館山のコンコルドの「アナログ+球」の世界。(コンコルドの佐久間さんはDATも音源に使っているが、フォノイコ前の信号をDATに記録したものを再生時にはアンプ側の球のフォノイコ回路でイコライズするやり方なので究極のアナログ再生とも言える。)
「石」と「球」、デジタルとアナログ、いずれにも一長一短があり甲乙をつけるべきものではないが、時には別世界を覗いてみたくなるのが人情というものである。
そんな僕の琴線に触れるようなものが登場。
ラックスマンの真空管ハーモナイザー、月刊ステレオの別冊として音楽之友社から発刊された途端に(予約の段階で)売り切れた・・・そこをなんとか頑張ってゲットしたのがこれだ。
これは所謂「はさみモノ」と言われるもので、僕の場合はネットワークプレーヤーとプリアンプの間に挿入してやるつもりだ。
よく見ると「真空管ハーモナイザー・キット」と書いてあり、「キット」ということは組み立てなどの作業を要するということで、電気モノに自信の無い僕としては少しばかり不安を感じる。
開封してみると色々入ってるが、肝心の基盤まわりの作業は簡単そうなので安堵した。念のために小物類の入っているビニール袋に番号を振っておく。
これがハーモナイザーの心臓部となる真空管。
12AU7という型式の管で、付属していたのは中国製であることはわかるが、何処のメーカーのものなのかは不明だ。まあ、これについてはおいおい挿し替えも考えたいので今日のところはこれでいこう。
事前にネット上の書き込みを見ると、押し並べて「筐体を組み立てるタッピングスクリューが堅い」とのことだったが、穴位置を合わせながら少しずつ丁寧にねじ込んでいけば何の問題もなかった。
完成間際にアース部分へのワッシャーを忘れていたことに気付いたがそれも無事組み付けることができた。
ゆっくりと時間を掛けながらの作業だったが1時間足らずで完成した。
早速、ネットワークプレーヤーとプリアンプの間に挿んで電源をオンにすると当たり前だが真空管が淡く光を放つ。
いいね~。
で、音の方はどうだろう。
できたてのホヤホヤでなんのエージングもしていない真空管、ということで音質を評価されるのはハーモナイザーにとっては酷な話であろう。
真空管のイメージとしては「音が柔らかい」というのが一般的で、僕にもそういう先入観を持っていることは間違いない。
はたして音は柔らかくなるのであろうか・・・柔らかいというよりは迫力が増した感じ。特にベースの弦が指で弾かれる音や、ドラムのシンバルを叩く「シャーン」という音なんかが顕著だ。
良く言えば叙情的で且つ瑞々しい。
NAS中に蓄えられた同じFLAC音源を、DACとネットワークプレーヤー(真空管ハーモナイザー付き)で同時再生しながら切り替て聴き比べた結果だ。
勿論、Sonica DACとNA-11S1の元の音の傾向だと言ってしまえばそれまでだが、真空管のエージングを経て今後どのような音となっていくのかが楽しみだ。