帰国してからすでに半年以上が経った。
4年近くの不在を取り戻すべく色々な事を足早にやってきたのだが、その仕上げにどうしても年内にやっておきたかった同僚の墓参りに行ってきた。
同僚は今から15年ほど前から約10年間、苦楽をともにしてきた仲間だったが、一昨年55歳にして不治の病を得て身罷ったのだった。
同僚の墓は三浦半島の先端に近い松輪漁港の上の丘にあった。
圧倒的に眺めの良い場所だ。
東、南、西の三方に海を臨むことができる。
まずは東京湾、向こうに見えるのは房総半島だ。
「良いところだな~」
「そうでしょう、景色には自信があるんです。」
心の中で同僚と語り合った。
皮肉なことに、この霊園は病を得る前に彼自身が両親のために探したところだった。
墓にはまだ彼しか入っていない。