2019年オーディオ道(楽)総括

2019年のオーディオは18年末に購入した新しいDAC、Mytek Digital社のBrooklyn DAC+から始まった。

Brooklyn DAC+

その1年前の17年末にOppo社のSonica DACを導入したばかりで何が気に入らないということではなかったのだが、これがDACの終着点かというフィーリングも得られなかったので僅か1年での入れ替えとなった。冷静に振り返ると、最新のDACチップを搭載するSonica DACの鮮烈過ぎる音色が僕には合わなかったのと、時折りに起こるネットワーク上の迷子事件が入れ替えの原因だったことになる。
我が家にはCDプレーヤーのK-05、ネットワークプレーヤーのNA-11S1、プリアンプのC-48のそれぞれにDACが内蔵されており、性格の違った音楽を聴かせてくれる。K-05は冷静で精緻な音、NA-11S1は音楽性の高い音、C-48はゆとりを感じる伸びやかな音という印象だ。
満を持して導入したBrooklyn DAC+はどうかと問えば、既存の三つのDACの良いところを全て持ち合わせ、更にそれらを磨き上げたような印象だ。
USB接続されたPCのFoobar2000、iTunes、AccuRadio、Amazon Musicと光接続されたTVの音声はBrooklyn DAC+が引き受け、K-05とNA-11S1のDACは自身の再生のみで使うようにしている。意外ではあるがTV音声のクオリティがグンと向上したのが嬉しい。
Brooklyn DAC+のもう一つの魅力はMQA-CDへの対応。SACDが限りなくアナログを追及したデジタルであるとすれば、MQA-CDはデジタルの中のデジタルという存在ではないだろうか。これぞハイレゾの極みともいえるMQA-CDはデジタル派の僕と親和性が高いフォーマットといえるだろう。最初は少なかったアルバムタイトル数もここにきて急増の兆しが見えてきた。
24ビット系のハイレゾ音源やMQA-CD音源(これもハイレゾ音源だが)も良いのだけれど、Brooklyn DAC+で再生するとiTunesのMP3ファイルの音も素晴らしく良く聴こえる。元々iTunesのインターフェースは優れているのでNASに格納された圧縮音源を聴くことが増えたのは事実だ。この様に、デジタルオーディオの重要なファクターの一つはインターフェースである。聴きたい曲に容易にアクセスし再生する、簡単なことだが意外とそれができていないのだ。同様にPC経由でのAccurRadioやAmazon Musicも良い音で聴けるし、演奏中の曲目についてもPCやiPadの画面でしっかり確認できるので気分が良い。
結果的にお蔵入りとなったSonica DACは箱に納められて新たな嫁ぎ先を探しているのがちょっと気の毒だ。

Brooklyn DAC+の話ばかりになってしまったが、DACに絡むもう一つの変化点は厳密にはオーディオとは言い難いがオーディオ用PCの入れ替え。2010年製のノートPCのハード(HDDからSSDへの換装、メモリー増設)、ソフト(Windows7→Windows10)に手を入れて使っていたものの安定度が低く、音楽を聴くよりもPCの手当てに時間が掛かることが多く大きなストレスとなっていた。それを解決したのがLenovoのThinkPad E-580だ。

E-580

最初からWindows10を搭載した新しいPCであるから当たり前なのだがトラブルフリーとなりストレスもフリーとなった、トラックボール式のマウスにはまだ慣れが必要だが。

久し振りにDG-48のヴォイシング機能を使って部屋や機器の音響特性へのキャリブレーションを実施した。イコライジングまではやっていないが音も心もスッキリした。

DG-48付属のマイクロフォン

初夏から秋に到来した大型台風の際の停電。東日本大震災の時の計画停電以来の停電だった。ほとんどの物が電気仕掛けの現代の家庭、しかも我が家はオール電化住宅なので停電に対する術のなさを再認識した。
それもあってポータブル充電器をネットで探しているときに出会ったのがHONDA製のLib-AID E500だ。内部配線やコンセント材質をオーディオグレードにしたものにも惹かれたのだが価格が約3倍、普通のLib-AID E500にした。

Lib-AID E500

これをDACとネットワークプレーヤーの電源とすることで外からの電源ノイズからは隔絶される。それだけでなく、予想に反して力強い音調となったのが嬉しい。

以上が2019年のメインのシステムでの変化点だ。

一昨年秋にSRS-Z1ベースのBlack Birdを製作したのを機に手を入れ始めた書斎のサブシステムだが、会社で廃棄されそうになっていたオーディオキャプチャーのFA-66を譲り受けて再利用することにした。

赤いのがFA-66

UA-25というUSB接続のオーディオキャプチャーも入手したのだが、Windows10用のドライバーをどうしてもインストールすることができずに諦め、FireWire(IEEE1394)接続のFA-66を使うことになった。PC側にもIEEE1394のボードを増設する作業となったが、スペック的にはFA-66の方が優れているので、結果的にはより高性能な外付けのDACを導入したことになる。

番外編はスバルXVのスピーカーの交換だ。
カロッツェリアのフルレンジを4発、ツイーターを2発交換したのだが、ドア周りのデッドニングを徹底的に行い、且つiPadのアプリを使って周波数特性も調整した結果、一皮むけた音質になった。

Carozzeriaのスピーカーとデッドニング機材

というように2019年もハードウェア中心に細々ではあるが着々と手を入れた年だった。
オーディオの本質というか目的は音楽を感動的に聴くということであってハードウェアをいじくり回すことではない。しかしながら、オーディオのみならずカメラや車、PCなどに共通して言えることだが、本来の目的を「より良い状態で達成すること」に手を掛けるのも大いに意味があることだと思うので、2020年も引き続きこの路線を踏襲、発展させていきたい。