これ以上は要らない?

ふとしたきっかけで入手したM44Gから始まり、M44G Woodyを経てV15 Type-4、V15 Type-3と進んできたShureのMMカートリッジの旅(?)だが(もとから所有していたM97xEもあり)、その大トリとして登場したのはM44-7である。

価格、いや格的には最も下(という言い方は変だが敢えて)のM44-7ではあるが、Shure社のカートリッジ生産終了から2年近くたった今は販売店の在庫も終了し、オークションもしくはメルカリなどでしか手に入らなくなっている。
当然ながら取引価格も上昇傾向で、量販最盛期には6千円前後だったM44G/M44-7ともに新品なら2~3万円ぐらいで流通しているようだ。
メルカリに網を張ってから1か月ほどで「新品同様1万円、シェル付き」という出物があったので即ゲット、実は新品5.5千円(シェルなし)という出物を逃した後だったので迷いはなかった。

届いたM44-7は綺麗だった。ただ一つ、運送中のダメージなのか、それとも最初からなのかカンチレバーが少し右に傾いでいた。会社の先輩が「M44の太いアルミカンチレバーなら簡単に直せるよ」と言っていたのを思い出し、恐る恐るプライヤーで修正したらあっけなく直った。
シェルはノーブランドのチープな感じのものだし、リード線もそのシェルの付属品だがまずはこれで良しとした。テクニクスのオーバーハングゲージでカートリッジの位置を修正し、取り付けネジは山本音響工芸の真鍮品に換えてやる。
M44シリーズをはじめとするShureのMMカートリッジ群で忘れてはいけないのは、カートリッジ本体とスタイラスボディとの上下方向の隙間詰めだ。何もしないと0.5mmほどの隙間ができたままとなりスタイラスもグラグラだし、斜めに取り付いたりもする。なのでここに詰め物をしてやるのが僕の流儀だ。

メルカリでゲットしたM44-7

SL-1200GAEに取り付け、針圧は2.5gに(推奨値は1.5~3.0g)、アンプの負荷容量は450pFにした。
早速聴いてみる。いつものように「Waltz for Debby」から始まり、バックハウスの「ベートーヴェン後期ピアノソナタ30/32番」、そしてキースジャレットの「Death and The Flower」、翌日にイーグルスの「One of These Nights」と進んでいく。

EAGLES
One of These Nights
(呪われた夜)
M44-7

<良いところ>

楽器が一回り大きく(立派に)なる
楽器との距離が近づく
ベースの胴鳴り
グランドピアノの余韻、残響
サックスの艶やかさ、滴り落ちる瑞々しさ
骨太感
安心して扱える頑丈さ

<?なところ>

パチパチノイズは大きい
(周波数の)上は切れている、十分だけど
フォーカスが甘い
大きな音の飽和感と少しの濁り感

ということになるのだが、はっきり言ってびっくりするほど良いカートリッジだ。
M44Gに出会った時以上の感動を覚えた。ことによってはV15 Type-3に迫るか、もしくは追い抜くかという逸材なのではないだろうか。M44-7はハイファイではないという人は多いが、そんなハイファイなら僕は要らないと言い切れる。
シェルとリード線交換での伸び代が楽しみだ。その時はM44Gオリジナル君も一緒にアップグレードしてやろう。

<M44-7オリジナル>(+3) (太字はM44Gとの相違点)
写実的 〇〇〇●〇 叙情的
繊細 〇〇〇〇● 図太い(+1)
COOL 〇〇〇〇● WARM
DRY 〇〇〇●〇 WET
落ち着きがある 〇〇〇〇● 元気がある(+1)
シャープ 〇〇〇〇● ふくよか(+1)
高域重視 〇〇〇●〇 低域重視