6年半乗ったBMW320d(F31)を乗り換えた。
320dは動力性能、燃費、乗り心地(特に高速での)、操縦安定性、パッケージング等に車を知り尽くした欧州の老舗ブランドらしいしたたかさや味わいを感じる名車だった。
ただここにきてABSセンサーの故障でADASを始めとする先進機能が殆ど機能せずというトラブルが2回続けて発生し、機械モノなのだからそれ自体は修理をすれば良いことなのだけど、その際のディーラーの対応が今ひとつで不安を感じたり、下回りなどを細かくチェックすると(これは長年の付き合いのあるマツダでやってもらった)これ以上長く乗り続けるのであればそれなりの規模で手を入れなければならない所が散見されるようになってきたので乗り換える事にしたのだった。
仕事を完全にリタイアし、2台持ちから1台体制にしたこともあり、1台に長く乗り続ける環境になったのも乗り換えの理由ではある。
次なる車はメルセデスのGLAにした。
理由の一つは次なる車もドイツ車にしたかったこと。凡そ35年前に買った初めての外車であるVWゴルフ2から始まり、OPELベクトラ、少し間をおいてまたVWのゴルフ4と6、そしてBMW320dとドイツ車はそこそこの期間と台数を所有した。これに欧州駐在時代のOPEL/Vauxhallブランドのオメガ3台とアストラなどの社用車も入れれば、ドイツ車とはかなり長い付き合いだ。
自分の所有した車のベストテン(?)の上位はいすゞジェミニやマツダRX-8、ホンダシビック等の国産車が多いのだが、これらの多くは車の性能やスタイル、使い勝手という側面だけで上位になった訳ではなく、寧ろそうした車たちと過ごした(若き)日々の思い出がかなり影響している。
純粋にクルマという機械の良さという軸に重きをおいた評価をすれば、俄然ドイツ車が上位を占めてくる。ここでいう良さとは性能というよりは機械としての存在感や操作をした時の重厚さなどである。製品の品質という指標では国産車の方が上であると思う。
というような思考の末、次なる車もやはりドイツ車、できれば今まで所有をしたことのないメルセデスにしたいと思っていた。
時は前後するが、コロナ前に訪れた北海道と九州の旅行では3台のメルセデスをレンタカーで乗る機会があり、延べ1000キロメートルほどのドライブを楽しんだ。此処でメルセデスとBMWのコンセプトというかフィロソフィーの違いを理解することができた。その3台の中でも先代GLAの4MATICの動力性能と操縦安定性の高次元なバランスには感心した。
また、メルセデスではないのだが昨年末まで所有していたスバルXVのサイズ感とパッケージングの良さも気に入っていたこともあり、メルセデスを選ぶのであればXVと類似したプロポーションのGLAにしようと決めたのだった。今ではエンジンのバリエーションも増えたのだが、注文時に選べるはディーゼルの四駆モデルのみというのも強い共感を覚えた。
大きな声では言えないがもう時効ということで言ってしまうと、その昔、仕事でSUVの開発担当をしていたころはあまりSUVに魅力を感じていなかった。クルマは低重心でコーナリングに優れたモノであるべきと思っていた。その思いが後年RX-8やロードスターのようなスポーツカーに傾倒していくことになったのだが、短い期間ではあったが家族の一員であったスバルXVがその固定観念を覆してくれた。アイポイントの高いSUVで訪れた晩秋の蓼科の素晴らしかったこと、そしてフルタイム四駆が齎す安心感と実際の操縦安定性・・・僕はSUVに目覚めた。いささか遅い目覚めではあったが。
と、ここまでは良かったのだがコロナ禍や半導体不足などなどの影響もあり、昨年のうちに注文をしたGLAが納車されたのは8月の上旬、なんと8か月待ちだった。今までにもRX-8で約3か月待ちというのもあったが8カ月というのは異例に長い。その間、YoutubeでGLAの動画を見まくり知識だけはどんどんと蓄積されていくが、車はいつまでたっても日本に到着しない。7月になって「来月上旬に納車の目途が立ちました。」と告げられた時もピンとこないぐらい長い待ち時間だったのだ。その間GLAを迎えるための環境整備(特に洗車環境)については粛々と進めていた。
なんとか納車の日を迎えることはできたのだが、鉄粉が塗装面に付着する前の「ど新車」のうちにコーティングをしておきたいということで予約しておいたコーティング屋さんとの日程がカツカツで、納車の翌朝にはコーティング屋さんに車を届けて二泊三日で作業、その後は台風がらみの雨続き・・・新車に乗る機会が未だほとんどないのである。
「猫」ステッカーをリアガラスに貼ったり、孫用のチャイルドシートを取り付けたり、トランクに常時積んでおくものを厳選したりという作業もここのところの雨続きで始められないのである。
一つだけ済んだ事といえばコーティングとラッピング処理。
コーティングに関してはコーティング屋さんと相談した結果、今回もGT-Cコートとなり、これはロードスター、BMWと同じだ。まあ、2台とも最後までコーティング層の劣化は全く感じられなかったのだが。ちょっと違うのはメンテナンス剤を多めに注文しておいたので、これからは毎回ではないが洗車後にコーティングメンテナンスをマメにやっていこうと思っている。この違いがどういう結果を生み出すのかが楽しみだ。
大きな変化は外装のアルミ部分のラッピングだ。BMWでは窓枠のアルミの白錆をどうやっても退治できなかった苦い思い出がある。屋根付きのガレージであれば白錆は出にくいとは言われているが、昨今の台風の風の強さを考えると車庫に庇を付ける気にはなれない。かといってモールにガラス系のコーティングを施したとしても白錆は防げないという事実もBMWで経験済なのでGLAではなんとかしなければとずっと考えていた。その結果行き着いたのがラッピング。馴染みのコーティング屋さんはラッピングも得意なのだった。
最初は地のアルミと同色またはクロム系のものを考えていたのだが、ラッピングではアルミの風合いは出しにくいということなので黒にすることにした。まあ、非常に無難な結論ではある。黒といってもいくつかのサンプルからサテンブラックというのを選んだ。
外装の装飾的な部品全般に言えることだが、アルミ地などの銀色系はメカニカルな雰囲気、ボディと同色だとラグジュアリー且つ落ち着いた印象、そして黒はスポーティーな感じになるものだ。一時期、国産車の外装品はボディと同色というのが多かったが最近はアルミやクロム系などの光り物がよく使われるようになった。特に最近のミニバンのラジエターグリルなどはピカピカの総入れ歯みたいなのが多いが、あれは品がないと思うのは僕だけだろうか・・・。ちなみにGLAもボディーサイドやリアバンパーにはクロム系の光り物が使われているが、それらはアルミの部分とは全くちがう風合いなのでそのままにした。
とにかく結論として窓枠とルーフレールを黒、ツヤツヤでもマットでもない黒にすることにした。
火曜日の朝に車を預けて木曜日の午後に受け取りに行った。これが「Before and After」である・・・とここまで書いたのだが雨は止まない。取り敢えずは「Before」の写真だけを載せておこう。乞うご期待。