Red BullじゃなくてRed Persimmon②

一晩待って接着剤が硬化したのでリード線を繋いでやる。テクニクスのオーバーハングゲージで針先の位置を確認するときちんと52mmとなっていた。そうなるように切削加工してあるのだから当然なのだが。

M44-7オリジナルとL.angleにセットされたM44-7

まずはシュアーのオリジナル・スタイラス N44-7を付けて音出しをしてみる。針圧は2.5g。

M44-7のオリジナル・スタイラス N44-7

M44-7の持つ元気さ・明快さはそのままに少し大人びた落ち着きを感じさせる音だ。ハイファイな方向に行ったのではないが細やかな表現力が加わったとでも言うべきか。これは相当良い。

次にSilverheart推奨の「Red Bull」仕様を聴いてみる。スタイラスをJICOの「牛殺」にしたものだ。針圧は2.5で。

Red Bull仕様

スタイラスの赤とヘッドシェルの赤が調和して格好いい。きっとSilverheartとJICOが示し合わせて作ったのだろう。音はオリジナルに比べるとちょっと音数が減ったような、これはV15 TypeⅢの牛殺でも同様の傾向なのだが。ヘビーロックなどには合うのかな?僕的には見た目は良いが音はオリジナルのN44-7の方が好みだ。

次はM44Gのオリジナル・スタイラスのN44G。針圧は2.5g。

M44Gのオリジナル・スタイラスN44G

これも良い。N44-7に比べると深み・落ち着きのある大人の音。
M44G Woodyでもそうなのだが、シュアーのオリジナル・スタイラス、アルミの太いパイプで見かけは武骨、DJユースにも耐える強固で堅牢なものなのだが音は良い。日本人が作るJICOとアメリカ人の作る(実際にはメキシコ人か)シュアーオリジナル、それぞれの国民性が出ていて面白い。

で最後は本命の「黒柿」だ。
というその前に、シュアーのM44シリーズで唯一気に入らないところ、それはカートリッジ下面とスタイラス上面の隙間。0.5mmぐらいあるだろうか。微妙な隙間だ。この隙間のせいでスタイラスによっては回転方向のアライメントが狂ってしまう。性能的にはそれでも良いのかもしれないが、見た目的にはNGだ。なのでM44シリーズのカートリッジには僕なりの改造を行って、必ずこの隙間を埋めてやる。といっても黒いビニールテープを二枚貼るだけなのだが、この違いは大きい。

先端部には隙間を埋めるビニールテープを貼る

で本命の「黒柿」。これも針圧は2.5gで。

SilverheartのL.angle+JICOの黒柿=Red Persimmon

いやこれは良い!
アルミ削り出しのヘッドシェルの強固さに支えられ、M44-7が全力で歌う。M44-7の持つ溌溂とした躍動感に黒柿の持つ温もり、繊細さが加わった。そして意外だったのが低音のボリュームの豊かさ。これはM44-7が持っている潜在能力だったのだろう。管楽器はもちろん、艶が乗ったピアノの重低音が素晴らしい。
我が家のMMカートリッジ群の最高峰はV15 TypeⅢ+JICOベイシーモデルだったが、その地位を揺るがすインパクトだ。
新しいものを試すたびに言っているような気もするが、「これ最高!」。
命名、「Red Persimmon」。

ちなみに今日の視聴に使ったLPはいつもの「Waltz for Debby」に加えてこれ。ハロルド・ランドのテナーサックスの音にシビれるよ。

The Curtis Counce Group Vol.1 “Landslide”

極めつけはこれだ。スコット・ハミルトンのサックスだけでなくピアノの音が凄いんだ。

スコット・ハミルトンだ!

またレコードを聴く日が増えそうだ。