信州紅葉の旅 (2)

明けて二日目、松本の町の天気は良い。

今日は志賀高原を目指すのだが、その前に松本城に寄ってみる。
まだ朝早いせいか、城に隣接した駐車場も空いているし観光客もそんなにいない。

一眼レフを持ち出すのが面倒だったので、SONYのFDR-X3000で動画を撮りつつ時折写真も撮るという方式で進んでいく。
せこい話だが、松本城は入場するだけなら無料、天守閣に入るには拝観料(っていうのかな?)をきっと払うのだろうが今日の目的地である志賀高原はまだまだ先なのでお堀端を歩くに留めた。
このアクションカメラ、動画は4Kまで撮れるのだが静止画もなかなかいけるではないか・・・広角のみではあるが。
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お堀の水の中には鯉だか、亀だかがいてのどかなものだ。
立派な枝振りの木が綺麗に紅葉している。
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松本城を後にして志賀高原を目指す・・・ではなくて、安曇野に寄り道。
安曇野ICで高速を降りて「国営アルプスあずみの公園」に。広々とした公園だったが猿が近くまで来てるので恐い。
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安曇野ICから長野自動車道に戻り志賀高原を目指す。
昼食を摂るために立ち寄った姨捨SAから見える善光寺平と長野市街の眺めが良かった。雲間から差し込む陽光に千曲川が光っている。
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栗で有名な小布施あたりで前方に虹が出た。
まるでゴールのように前方に立ちはだかる。色も鮮やかだ。
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信州中野ICで上信越自動車道を降りて志賀高原を目指す。
この辺りに来たのはなんと36年ぶりだ。
今走っているバイパスは昔はなかったなぁ。湯田中温泉の横を通って志賀高原に入っていく。取り敢えずの目標は昨日通るはずだった渋峠だ。
琵琶池、丸池と来て蓮池の三叉路を熊の湯方面に。昔の土地勘があるので道に迷うことはなかった。
熊の湯を通過して横手山を経て渋峠を目指すが周囲は濃霧だ。外気温も1.5℃まで下がっている。これ以上標高を上げても運転のリスクが増すだけで何も良いことが無いので潔くUターン。
熊の湯まで降りてきて、懐かしい志賀パレスホテルの前で車を停める。う~ん、懐かしいが中に入るほどでもないのですぐに発進。

蓮池三叉路に戻る途中、長池畔にある日本医大の「杣(そま)クラブヒュッテ」に立ち寄った。学生時代に志賀高原でのスキーの拠点にしていた懐かしい場所だ。
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シーズン前のヒュッテには人気がなかった。
ここから雪の上を10分ほど登って、朝一番でジャイアントゲレンデを滑降するのだ。夕方には最終近いリフトでジャイアントの上まで戻り、ヒュッテを目指して熊笹の中を滑り降りる。
時には日没後になるも、暗くて細いトレールをヒュッテ目指して一人ずつ滑り降りてくるのだった。

蓮池の三叉路を右折して次は奥志賀高原を目指す。
相変わらず霧と雨、いや霙(みぞれ)になってきた。
トンネルを三つ通って高天ヶ原に、晴れていれば右手に東館山と雄大なスキーゲレンデが見えるはずなんだけど、今日は五里夢中。頭の中の記憶をたどって想像してみるしかない。

奥志賀高原に行く前に寄っていきたい所がある。(そんな所ばかりだけど)一の瀬ファミリーゲレンデだ。
ここは僕が生まれて初めてスキーをしたところ、10歳のころだったと思う。そのころ泊まったスキーロッジの場所には新しいホテルが建っていた。
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ファミリーゲレンデ。
勾配がそこそこ緩やかで幅もゆったりとしてギャップの少ない初心者向けのゲレンデだった。写真に写ってるリフトは昔はあったかなぁ。リフトに乗っているときに当時流行った「帰ってきたヨッパライ」が大きな音で放送されていたのを思い出す。
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ここでオーストリアスキー教室が開かれていたのを思い出す。夏の間はお百姓さんをしているような地元のおじさんたちが冬なると格好良いスキー教師に早変わり。オーストリア国旗みたいな赤と白のセーターを着て、授業の最後にはストックを掲げて「シー・ハイル!」(ドイツ語で「スキー万歳!」といったところだろうか)なんて叫ぶんだ。

懐かしいファミリーを後にして奥志賀高原を目指す。
左手にはダイヤモンドゲレンデと焼額山があるはずなんだけど、それも霧の中。昔は無かったプリンスホテルの前には広い道ができていた。

奥志賀高原には着いたもののやっぱり霧と雨の中である。長野電鉄のバスの装いが楽しい。キノコが嫌いな息子が見たら気絶しそうな。
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一の瀬の手前まで戻ってきたんだけど「霧が晴れないかなぁ~」と願いつつ、結果的には無駄な時間を過ごす。
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霧の中の景色も水墨画みたいでいいな。
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でも、今回の旅の主題は「紅葉を求めて」だからな~とか思いつつ山を下っていく。
高天ヶ原も通り過ぎ、蓮池あたりまで行けば何とかならないかな~と思いながら通ったトンネルの出口から一瞬だったが紅葉が見えたので慌てて車を道端に停めた。
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おお、此処はジャイアントゲレンデの中腹ではないか。しかも、目の前のシャープエッジのようなトンネルの「角」、上からすっ飛ばしてきた僕が勢いを殺せずに大ジャンプをした挙句に、新品のフィッシャーC4からビンディング(LOOKだったなぁ)が抜けて愕然とした場所だ。あれは40年前だな。時の経つのは早いが、あの時のショックは忘れない。

気を取り直して誰も居ないゲレンデに出て下を見てみる。急勾配のギャップ地帯は見えないが、その先にスキーロッジ群が建っている。
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今見ても凄い高度感である。時は経ったがこの急斜面を滑り降りる時の高揚感と恐怖の記憶は褪せない。
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霧の立ち込める中、紅葉が美しい。

丸池まで降りてきた。湖面に立ち上る湯気のような水蒸気が幽玄な雰囲気を醸し出している。
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勝手知ったる道を入り込んでいって、先ほど上から眺めたジャイアントの最下部に出た。
よく昼食を摂ったベルグはそのまま健在だった。
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この辺りは野生の猿が多いところなので、あまり外に出ていたくはないが霧の中の森の様相があまりに良いので写真を撮る。
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霧の向こうに霞むスキーロッジも良い感じ。
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一瞬の晴れ間もない志賀高原ではあったが、そのおかげで昔をじっくりと思い出すことができたのかもしれない。
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信州中野(今は中野市っていうんだ)の道の駅に寄って、その傍らの果物の直売場で林檎と葡萄と梨を格安でゲットした。

松本に6時前に帰着。
二日目はイタ飯を食して、また予定通りにバーに立ち寄ってと松本の夜を満喫した。