ぶっとんだ!

6月に導入した真空管ハーモナイザー、機器の定義でいうと増幅比が1の、つまり増幅しないアンプということになるらしい(よく見るとそんな品名が刻印してある)が、所謂「挟みモノ」であることは間違いない。
原理原則では「挟みモノ」はSN比を悪化させるのであろうが、もともとそんな数値や物理量には何のコダワリもないので躊躇無く「挟んだ」。
PC~DAC~真空管ハーモナイザー~プリアンプという接続で、最新のDACチップESS9038Proから弾き出されるピチピチでSN比抜群の(筈の)信号を敢えて真空管ハーモナイザーで「鈍らせる」のが狙いだ。
マッチポンプのような行為のようにも思えるのだが、ここらあたりがオーディオの面白いところなのである。結果さえ良ければ理に適わない事をやろうが勝手なのだ。

前置きが長くなったが、件の真空管ハーモナイザーである。
第一段階の改造では真空管をスロバキアのJJ社製のものに交換してみた。この交換で音の瑞々しさや臨場感がかなり良くなった。誰にでも分かる変化だった。
次なる「球転がし」はムラードやRCAのようなビンテージ管になるのだろうが、それは当分先のこと。
で、今回の第二段階の改造はコンデンサーの追加だ。はっきり言って電気に弱い僕にはあまり理解できない理由なのだが、高周波成分が適度に整理され結果的にスッキリとした聴感になるらしい。
う~ん、オーディオでの「スッキリ」という単語はあまり好きではないがやってみよう。
ハーモナイザーに付いてきた雑誌ではムラードのマスタードコンデンサーのようなマイラーフィルム系のコンデンサーが推奨されていたが、皆さんと同じものでは面白くない。自分だけのオリジナルなものにしてみたい。ということでコンデンサーについて色々ググってみた。で行き着いたのがこれ。

「DEL RITMO Black Candy」なるオイルコンデンサーだ。エレキギターの回路などに使われているもので、「“時代遅れの新しい音”です。 いつか聴いたあの懐かしいウェットな音との出逢い、オイルペーパーコンデンサならではのハーモニクス感は、真空管アンプ特有の芳醇な音色の引立て役。現代風フォルムの中身は《ビタミンQ》オイル含浸の紙とアルミ箔のコンビネーション、昔のまま何も変っていません。真空管アンプには、やはりウェットタイプがよく似合います。」という魅力的なフレーズ。「Vitamin-Q」というのもよく分からないがギター、オーディオ界では定番らしい。

ただしモノがコンデンサーであり、作業は現回路への追加なので僕には到底出来ないと思ったので、先日の同軸デジタルケーブル同様に「電気のことなら任せとけ大王」に取り付けをお願いした。
これが作業後の状態。ショート防止の熱収縮チューブまで被せてくれてある。

美しい眺めだ。蟹さん3匹っていう感じにも見えるが。

さっそく繋いで鳴らしてみる・・・「ぶっとんだ!」
回路がショートして煙が出たのではない、その音の変化にぶっとんだのだ。
いやいや、音が骨太で立体的になった。「高音がスッキリ」はどこに行ったのだろう。
リヒテルのシューマンのエチュードではピアノが唸るように鳴り響く。そしてローマ響のマルトゥッチのピアノ協奏曲2番でのオケの迫力が半端ない、でも決してうるさくはない。ウィーンフィルのマーラー10番、まさに安らぎを感じる音。
昨夜はここまでしか聴けなかったが、他ジャンルの音楽も含めて週末が楽しみだ。

お金の話はあまりしたくはないが、そもそもこの真空管ハーモナイザーは雑誌の付録に毛が生えたようなもの、JJ管も量産品だし、今回のコンデンサーBlack Candyも決して高価とはいえない。この三者に掛けたお金の合計は、せいぜい普通のRCAケーブル1本分でしかないのだ。でも、この効果・・・

いや~、オーディオって面白い。

P.S. カテゴリーに「DIY」をつけたんだがハンダ付けをしたのは大王様。でもコンデンサーを選んで調達したのは僕だからいいか。