極性の調整とハンダ付けの再工作を経てSRS-Z1 Black Bird(以下BBと略)は完全体となった。
黒の艶消し塗装の見た目だけでなく、鉛テープによる各部のダンピングによってZ1(2号機)比+50gという重量になったのでBBは手に持つとズシリと重い。
これでようやくZ1とBBの聴き比べと相成るわけだが、それぞれのアンプに入力端子を繋ぎ換えながらでは手間がかかって面倒だし、正確な聴き比べは難しい。ということでAmazonでステレオミニプラグの2分配ケーブルを入手した。これによっていちいちケーブルの抜き差しをすることなく聴き比べが可能となった。
厳密に考えるとスピーカー部分だけでなくアンプにも個体差があるだろうが、取り敢えずはそれぞれが最初からペアリングされているアンプに接続することとした。PCのモニターの両側にZ1とBBをセットする。
大丈夫だとは思うが、結線後にもう一度NORDOSTのチェックCDでフェーズ・チェックを行なう。Z1、BBともにOKだ。
Foobar2000を使ってNASに蓄えられたFLACフォーマットの楽曲データを再生する。
両方にアンプに同じ信号が送られているので、それぞれのアンプのVOLノブを回してZ1とBBの音量を大きくしたり小さくしたりを左右の手で同時に行なえば良い。慣れてくると両者の音量をほぼ同じにすることができるようになってくる。
ジャンルはJPOP、JAZZ、CLASSICが中心。ピアノの入った曲が好きなので、自然とそういう選曲になってくる。
で、結果はどうなのだろう。
机の上に置いたメモ用紙に書きとめられた単語を列記してみよう。分かりやすいようにZ1(BB)という対比で書いていく。
写実的(叙情的)、さわやか(しっとり)、清々しい(奥床しい)、ダイナミック(繊細)、COOL(WARM)、DRY(WET)、飛び出す(奥行きがある)、元気がある(落ち着きがある)、シャープ(ふくよか)
この辺まではどちらも良い面ばかりだが、どちらかがちょっとダメなところも述べると、
帯域が広い(x帯域が狭い)、x薄っぺらい(立体的)、すっきり(xこもる)、x重心が高い(重心が低い)などなど。
使っているユニットが同じでも経年変化による状態の良し悪しや様々な改善などでかなり色合いの違うものになってきた。全般的な傾向としては、経年劣化が少なそうなZ1(2号機)はフレッシュでメリハリがあり、素のままで勝負できる音。それに対し、少しくたびれて高い声が出なくなったユニットではあるものの、筐体のダンピングを中心にオーディオ的には適切な改造を施したBBは落ち着きと風格を感じる大人の音。といったところだろうか。
Z1は日本もしくはアメリカのスピーカーによくある解像度が高く、生々しい迫力のある音。BBは欧州系のスピーカーにある渋く叙情的な音である。面白いのは同じ曲を歌う歌手の年齢がBBになると数歳上がるような印象を与えることだ。
両方の良いとこ取りをすればZ1のユニットにBBのエンクロージャーといったサイボーグになるのだろうが、このままの2固体でお互い一長一短を持ったライバル同士ということにしておきたい。
近い将来にDACとアンプ内蔵アクティブスピーカーのKS1-HQMとの他流試合も開催してみたい。また、現在はPCのマザーボードのDACに頼っている音源も、外付けの別体DACで高音質化させてみたい。
なんだかメインのオーディオシステムの影が薄くなってきたような・・・厳密に言えば、もちろん比較の対象にはならないけど、夫々の楽しむポイントがあって面白い。
余談だが、最近ハマっているYouTubeの再生音もZ1、BBともに素晴らしいのである。