2018年オーディオ道(楽)総括

2017年のクリスマスに買ったOppo Sonica DACの活用から2018年のオーディオ道が始まった。

DACでの音源は主としてNASに蓄えてあるFLAC音源、DACはノートPCとUSBで接続し再生アプリはFoobar2000を使っている。再生用のPCは休眠状態にあったAcerの5745GのHDDをSSDに、メモリーを4GBから8GBへというリニューアルを行ないPC自体はキビキビと動作するようになったのだが、Windows 7が頻繁にフリーズするのでOSをWindows 10に更新、大幅に安定性は改善されたが未だマイナーなトラブルが完治したわけではない。
ESSの9038Proという最新且つ最上位なDAチップを使ったSonica DACとネットワークプレーヤーのNA11-S1とCDプレーヤーのK-05はそれぞれプリアンプに繋ぐと同時に、それぞれをシリーズで接続し、DACの聴き比べができる構成とした。その過程で謎のデジタル無信号事件が発生したが、犯人は機器を結ぶ同軸ケーブルの断線という非常にアナログなものだった。
UIの良さもあってUSB接続のPC~Sonica DACでの音楽再生が主流とはなったが、同じ音源を聴き比べるとNA11-S1の格調高い再生音に負けを感じる時もある。Oppoをけなすわけではないが、最新のチップを使っても「音造り」そのものの経験値が最終的な音質に効いてくるということなのだろう。
現時点での再生頻度で並べると、Sonica DAC(PCでのNAS音源再生)>>NA11-S1(NAS音源再生またはインターネットラジオ)>K-05(CD/SACD)>>SL1200GAE(LP)>V8030S(カセット)となり、完全にデジタル優位である。
一昨年、あれほど入れ込んだアナログ(LP)に関心が向かないのに自分でも驚いているが、何事も突き詰めないと納得できない性分なので此処のところはデジタル一直線。そのうち何かのきっかけでアナログのスイッチが入ることだろう。

上からSonica DAC、NA-11S1、K-05

デジタルオーディオではそれぞれのDACの入り口までがデジタル信号で、そこから先のほんのちょっとの区間がアナログ信号となるわけだが、そこに潜む「デジタル臭さ」をできるだけ排除したいというのが一般的なオーディオファンの考え方だ。僕はそこまで「デジタル臭さ」は感じないし、寧ろその臭さが好きな部類なので、再生機器の出口からアンプの入り口の間に何かを挟み込んで云々という気はあまりなかったのだ。しかしながら、先ごろラックスマンが雑誌の付録にとして出した真空管ハーモナイザーが何故か琴線に触れた。
早速Amazonで購入、もう少し決断が遅かったら法外なプレミア価格になるところだった。このハーモナイザー、完成品ではなくキットだったのでちょっと怯んだが無事に組立ては終了、短期間のうちに真空管の交換やコンデンサーの追加などの改造も加えた。機能的には増幅比が1のアンプということになるらしいが、音声信号の経路に真空管を潜らせることで真空管の持つ良さを付加させる狙いだ。等々、講釈が多いのだが効果もそれなりにあるというのが正直な感想である。

PCだけでなくNASにもトラブルが発生し、抜本的な対策を取った年でもあった。だましだまし使っていたQNAPのHS-210は初期化という大鉈をふるったお陰で、今は問題なく稼動している。SSD二個をRAID-0で使っているのでデータの保全性という観点ではリスクが残るが、これについては最近追加されたデータバックアップ用のNASを用いてHS-210そのものをバックアップするつもりだ。また、HDD不調に見舞われたNAS1号機はそろそろ不具合が頻発してきたので、中にある楽曲データを現在HS-210にコピー中。それが終わったら別の用途に転用の予定だ。こう書くと、なんだかPCの不具合対策の話ばかりしているようだが、PCオーディオを嗜む以上は避けて通れない道なのだ。

ラックスマン製の真空管ハーモナイザー

秋頃に二つ新しいことに手をつけた。
一つ目はBlack Birdの作製である。
ソニーのSRS-Z1というスピーカー、専用のアンプとのセットでバンコクに赴任する際にオークションで手に入れ、彼の地での音楽再生で活躍をしていた。その後クリプトンのDAC/アンプ内蔵のスピーカーに主役の座を譲ることになるのだが、非常に繊細且つサイズからは想像できないスケールの再生音である。帰国後はデスクトップPCの再生用として使っていた。
ある日メルカリで程度の良さそうなZ1を発見し落札した。送られてきたZ1はワンオーナーものの美品だった。再生される音も若々しい。早速デスクトップPCの再生用として採用。
そのままではまたしても先代のZ1の活躍の場がなくなる。ということで、先代のZ1には大手術を施した。筐体をバラし、ユニットや配線も外した。その上で筐体とユニットに鉛テープでダンピングを施し、筐体を艶消しの黒に塗装、ユニットについた汚れをエタノールで落とし、配線も一新した。このように念入りレストアされたZ1は、その色もあって「Black Bird」と命名した。ダンピングが効いているのか、それともユニット自体の経年劣化で高音があまり出ないのか、その両方が良い方向に作用し合ってBlack Birdには大人の音を感じる。
ちょうど時を同じくして組み立てたRasberry PieをDACに使ったPCオーディオの再生用としてBlack Birdは確固たる座を得ることができた。その後、サブ・ウーハ-の追加もあり充実した音楽を奏でている。
そのRasberry Pieだが小さいながらもPCとしての機能を持っており、VolumioというOSでNASの楽曲を再生できる。今は机の上のBlack Birdでしか使っていないが、そのうちメインのシステムに繋いでJBL4338を鳴らしてみようかとも思っている。

Black Birdとして甦ったSRS-Z1
高剛性のケースに収まったRasberry Pie

家中の音源となるNASに貯えられる楽曲データの入り口がPCに備え付けられたディスクドライブだ。今まではデスクトップPCに最初から付いていたものを何も考えずに使っていたのだが、リッピングのクオリティを考えパイオニアのBDR-S11J-BKに交換した。
このドライブは高度なエラー補正機能を有しているのだが、どちらかというとリッピング品質の向上に期待をしている。同じCDでのリッピングの差を検証したわけではないのではっきりとしたことは言えないのだが、かなり良い仕事をしているようだ。

パイオニアのBDR-S11J-BK

以上のように2018年のオーディオは結果的にデジタル系の改善を主に行なうことになった。オーディオをやってるのかPCを弄っているのかの境界線上を彷徨っていたともいえるのだが、総括としては今年も「見る前に跳べ」を実践できた一年だった。