TEAC V-8030Sの後継機はNakamichi 680ZXにした。
高性能なカセットデッキの生産が終焉を迎えるころに登場したV-8030Sに比べると15年ほど前の発売になる680ZXだが、性能的にも機能的にも全く見劣りがしないというか、別格に高く感じる。
実は此処に至るまでNakamichi(ここから先は「ナカミチ」で)というブランドにはほとんど接点がなかった。そもそもカセットデッキというコンポーネントにそれほどのこだわりを以って接したことがなかったので、ナカミチのことはほとんど知らなかった。もちろんナカミチというブランドがどういう位置づけにあったのかは理解していたつもりだが。
同じジャンルの機械製品では15年もの時間経過があると、どう考えても後発の製品の方が高性能且つ高機能であるのが普通だ。成熟しきった技術分野の製品であれば別の話だが、カセットテープがハイエンドのオーディオ製品と認識され始めたのは1970年代に入ってからだと思うので、680ZXがリリースされた1980年ごろはまだまだ開発途上の技術であったと思われる。その680ZXが1994年リリースのV-8030Sより以上の性能を持っているというのが凄い。価格帯は倍以上の開きがあるが、V-8030Sだって高級機の価格帯の商品だ。
ヤフオクで落札してから色々と情報を収集してわかったことだが、ナカミチという会社、車でいえばポルシェのような存在だったようだ。孤高且つユニークな技術を最高の品質で組み上げた製品を、その価値がわかる人だけに提供する。コスト感覚がないとは言わないが、性能を犠牲にするコストダウンは行わない・・・以前、フェラーリもそう名言していたが、フェラーリとナカミチはちょっと違うかなって思うのでやっぱりポルシェだ。
と長い前振りがあって到着したのがこれ。
いや~、素晴らしい面構えと風格だ。
友人に言われて気付いたのだが、隣にあるマッキントッシュのアンプの照明色との相性もばっちりだ。
さっそく音を出してみる。
ヤフオクの出品者の方にV-8030Sで録音したテープを送り、商品の発送前に再生ヘッドのアジマス調整はしてもらっておいたのだが、はっきり言ってぶったまげた!こんな音がカセットテープから出るものだろうかという澄みわたった中高域、前後左右に広がる音像。
680ZXは録音ヘッドの自動アジマス調整機能が付いているので、本当の実力は自機で録音したテープを再生して初めて発揮されるのだろうが、現時点でも異次元の音だ。
しかしながら好事魔多しとはよく言ったもので、様々な動作チェックをしていくうちにRWDスイッチの反応が不安定なことが判明。出品者の方の丁寧な説明に従って要因調査を行った結果、どうも機械式のカウンターが怪しい。と言っているうちにFWDスイッチでも同様の問題が発生・・・ということで、到着の翌日の宅配便で出品者の元にお帰りになっていったのだった。
早く元気になって戻って来いよ~。
あの音を聴いたら、もう元には戻れない。