2023年オーディオ道(楽)総括

年中行事となりつつある前年のオーディオ道(楽)の総括、例年同様に2023年を振り返って綴ってみよう。
振り返れば2022年の総括では「総括するとすれば、『原点回帰』、『手作りの音』、『清貧』といったところだろうか。」と述べている。これは2021年春に仕事をフルリタイアし、キャッシュフローがガラリと変わったことによってそれまでの金満路線を見直す必要が生じたので当然の流れと言えよう。
そういった視点で考えれば2023年も基本は同様のものとなるはずだ。時系列で大まかにいくつかのトピックスに整理しながら振り返ってみる。

<非磁性体ノイズ抑制材>
2023年はオヤイデのNRF-005T(パルシャット)という非磁性体ノイズ抑制材を貼り付けることから始まった。最初のうちは電源系・信号・アナログ・デジタル系・・・などと系統だててその効果を見ながらやってきたのだが、最後は「あるだけ貼っちゃえ」といういつもの結果となった・・・効果の程は定かではない。



<多局受信に挑戦>
いつものONTOMOショップで入手してあったFMチューナーのLXV-OT8改(当然のようにF師匠の魔改造、真空管交換、外箱の塗装などを経たスペシャル仕様)で多局受信に挑戦した。
フレッツ光のTV信号を分波してやりゃあ鎌倉FM・湘南FMだろうがワイドFMでニッポン放送なんかも簡単に受信できる筈とふんでいたのだが・・・なんとフレッツ光には予め決められた放送局の信号しか含まれていないことを知り呆然とした。


解決策は自前のアンテナを使うこと・・・最初は小さなT字型アンテナを窓のサッシに貼り付けてみたがイマイチの受信性能、結局は大昔にも体験した壁アンテナだった。


これにてLXV-OT8改でも湘南FMとニッポン放送の受信が可能となった(鎌倉FMは壁アンテナではゲイン無しで受信できず)が、そこまでやってから「radikoで聴きゃあいいじゃん」という心の声が聞こえてきて多局受信ブームは終焉を告げたのだった。

<NASの再移転>
我が家には音源・映像(動画、静止画)のデータ保全用に四つのNASが稼働している。2階からロフトに上がる階段の踊り場の作業机の下に置いてあったのだが、冷却ファンの駆動に起因する振動が深夜などに気になってきた。ということで、ロフトの壁の扉を開けたところにあるフレッツ光の機器などが置いてあるスペース、すなわち屋根裏に引っ越しをした。これでNASの振動からは解放されたのだが、酷暑の真夏の屋根裏の温度を考えるとNASを置くべき場所ではないと思い、再度元あった踊り場に引っ越し、今回は振動対策を施したので今のところ問題無しだ。


<価格崩壊、秋月電子スピーカー>
YouTubeの宮甚商店というチャンネルを気に入って観ているのだが、そこで秋月電子の超絶安価なフルレンジスピーカーを知った。北日本音響という会社の製品だが製造は中国、ただ300円というびっくり価格だ。実際にエンクロージャーに入れて鳴らしたのを観たら俄然欲しくなったので行動に移した。
構想としては、新システム用として使っているバックロードホーンのバッフル板を交換式にすることでFE83NVとの併用を可能とするというものだ。早速設計図を描いてみる。


最大の難関はバッフル板の穴開け。片切りフリーカッターという工具を電気ドリルの先に着けてやってみた。


苦労しながらなんとか穴を開けてバッフル板交換式のバックロードホーンが完成した。無塗装のバッフル板だとなんだか北欧系のスピーカーのようでいいではないか。


しかしながら、よく見てみると新旧のバッフル板の間に半月状の隙間ができているのでバッフル板の固定ネジを増やし、それと同時に新バッフル版もいつものように水性ニス塗装することにした。

FE83NVの場合


秋月電子スピーカーの場合



これにてFE83NVと秋月電子スピーカーの聴き比べも可能となった。F師匠、そしてオーディオ仲間の友人にも視聴に参加をしたもらった結果は:
FE83NV:全般的に上品な鳴り方、中高域がフラット、意外に低域が出ている
秋月電子スピーカー:スピード感と迫力がある鳴り方、中低域と高域にピークがありドンシャリ好きには◎
総合的には僅差でFE83NVの勝利となったのだが、価格差が20倍もあるとは思えない秋月電子スピーカーの大健闘だった。
簡易的ながら両者のF特性を測定してみた。(1,000Hzの音圧合わせをしたF特性)


秋月電子スピーカーには400Hz付近と13,000Hz付近に二つのピークがあること、低域は秋月電子スピーカーが150Hz以下で減衰してしまうのに対し、FE83NVは80Hz付近まで出ているということが測定結果からも見て取れた。
また、この改造の結果、バッフル板が二重構造となった効果でバックロードホーンの音質が大幅に改善されたことを体感した。

<RG-100のレストア>
年中行事のように行っているメインシステムの電源系の見直しを行なう中で、クリーン電源であるCSEのRG-100の不調が発見された。明らかに大きすぎる発熱で筐体全体が高温になっているのだ。


いくつかの実験を行った結果、要修理と判定されていつものようにF師匠に引き取られていった。結果、一つのコンデンサーがパンクしていることが発見された。ついでにいつものように電解コンデンサーも一新してRG-100のレストア&リニューアルとなった。


<バックロードホーンのアップグレード>
近所のコーナンをウロウロしていたら、アカシアの集成材というものを発見。色合いといい、質感といいとても気に入ってしまった。なんとかこれを新システムのバックロードホーンのアップグレードに使えないものかと考えた。
エンクロージャーの上面、下面、側面をこの集成材で覆ってやれば見た目も剛性も大いに向上するだろうと考え、久し振りに真面目に設計図を描いてみた。板取りを合理的に、且つ切断回数が少なく(1カットいくらという方式なので)、それに加えて完成した時の木目の向きがバラバラにならないようにとアタマをひねった。
設計図をコーナンのおばちゃん(失礼)に渡す。このおばちゃんのテクニックが素晴らしかった・・・カッターの厚さを考えて僕の設計図通りの出来上がり寸法になるように切ってくれた。おばちゃん、ありがとう!


家に帰って早速バックロードホーンに当ててみる、バッチリだった。今回は接着とせずにネジ止めとすることにした。ネジはブロンズ色のものを使うことでアカシア集成材の色味とマッチして目立たなくなった。


事前の予想より更に素晴らしい出来栄えだ。
エンクロージャー全体の剛性が高まったこともあって、バックロードホーンらしいメリハリのある性格は継承しつつ、ライブ感・響と余韻・低域のボリューム感などが増した。
ひと回り大きくなったような(実際に大きくなっている)印象で能率も高くなったような・・・良いことずくめのアップグレードとなった。

<LXA-OT1改 vs LXV-OT7改>
バックロードホーンのアップグレードがきっかけとなって、新システムのアンプをLXA-OT1改とLXV-OT7改のどちらでいくべきかを決めるべきだと考え始めた。アンプ、スピーカーの頻繁な繋ぎ替えは面倒だし、つまらない故障の原因となりそうなので。
元となるキットの価格は別として、ここまで手掛けた改造・アップグレードなどを整理すると:
LXA-OT1改:素子の魔改造、オペアンプの交換
LXV-OT7改:素子の魔改造、真空管交換、ケースの追加と塗装、専用アナログ電源
とLXV-OT7改の方が多くの手を加えてきたのだが実際に聴き比べてみると、完全に個人の好みの問題ではあるが、LXA-OT1改の方が見通しの良い、潤いのある音に聴こえるのである。悩ましい。
F師匠にお願いして、アナログ電源を12/15V切り替え方式にしてもらいLXA-OT1改にも使えるようにしてもらった。また、LXA-OT1改の電源SWを独立させて使い勝手を向上させてもらった。


これでLXV-OT7改の持つハード上の優位性はほぼなくなったので、あとはLXA-OT1改との音質ガチンコ勝負である・・・2024年に続く。

これにて2023年のオーディオ道の振り返りはお終い。
2023年を総括するとすれば、前年の『原点回帰』、『手作りの音』、『清貧』に加えて『創意工夫』『飽くなき探求心』ということになるだろう。
2024年も頑張ろう!

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