M97XE蘇生

先日からM44Gとその派生に入れ込んできたのだが、実は随分前からM97XEも所有している。
この個体はシュアーがまだカートリッジを作っていたころに購入したので、且つ並行輸入品だったので今考えると大変リーゾナブルな値段で手に入れることができたのだった。

M97XEは伝説のV15シリーズの後継といわれ、M44シリーズのようにDJ用途に使われることもなくHifi志向の本格派という位置づけだった。
ところが何故かこのM97XEとは相性が悪く、満足のいく音で聴いたことがほとんどなかった。理由は後で述べるのだがDL103RやPP300というMCカートリッジ勢に押されてほとんど存在感がなかった。
しかしここにきてM44Gによる突然のMMカートリッジブーム、それに乗じて今一度M97XEを使いこなそうという気になったのだった。

シュアーのMMカートリッジ群の特徴は、①ハイコンプライアンス、②負荷容量が大きいということである。
②についてはM44Gの使いこなしを通じて学んだのでプリアンプの調整機能を使って負荷容量を450pFに。これで高音の歪は解消される。
問題は①だった。M97XE購入当時にはハイコンプライアンスという知識がなかったので質量の大きなヘッドシェルを組み合わせていた。

購入時のヘッドシェル
FIDELIX MITCHAKU

これはその名の通り大変がっちりとした肉厚のヘッドシェルで結果的に質量も大きい。

今までの重量

ハイコンプライアンスなカートリッジには軽量なヘッドシェルを組み合わせてやらないとその真価は発揮できない。ということでヘッドシェルを軽量なものに変更してやった。

軽量なヘッドシェルに組み換えた
軽くなったぁ!

それでやめておけば良かったんだが、リードワイヤの移植までやったら音が出ない!散々いじくり回した結果、慣れない作業でリードワイヤを断線させてしまったことが原因だった。気を取り直してリードワイヤをシェルの付属品に戻して問題は解決した。
さて、その音質は如何に?

蘇生したM97XE

M44Gの時と同じスケールで音の傾向を採点してみたい。

<M97XE(-11)>
テクニクスヘッドシェル
シェル付属のリードワイヤ
M97XEオリジナルスタイラス

()内はM44Gとの比較値(表中の右が+)
写実的 〇●〇〇〇 叙情的 (-2)
繊細 〇●〇〇〇 図太い (-2)
COOL 〇〇●〇〇 WARM (-2)
DRY 〇〇●〇〇 WET (-1)
落ち着きがある 〇〇●〇〇 元気がある (-1)
シャープ 〇●〇〇〇 ふくよか (-2)
高域重視 〇〇●〇〇 低域重視  (-1)

自己採点ながらM44Gとは相当傾向が違うのに驚いた。全ての分野で表の左側に振れている。一言でいうと「ハイファイ的で都会的で落ち着いた音」ということになるだろう。
色々な意味でMCカートリッジのDL-103Rに似た方向なのだが、DL-103Rを通り越してMG44Gの対局に近い方向に聴こえる。 ジャズやロックよりもクラシックが合う。特に弦楽器が良い。シュアーのイメージが随分と変わった。但し、長い間放置されていたカートリッジなので使い込むうちに「あたり」が出てきてその性格は変化していくことも十分考えられる。
いずれにしてもこれでM97XEの実力の一端を窺い知ることができた。
今のところ、総合的にはM44G Woodyの方が高評価なんだけど、M97XEも聴き込んでいくとその秘めたる魅力を知ることになるかもしれない。

ここ当分はMMカートリッジを極めることにしたので、MCカートリッジ用の昇圧トランスは外してしまった(汗)。