モノラル盤の楽しみ

1955年録音のグールドのゴールドベルク変奏曲のLPを手に入れたのをきっかけに所有するレコードをステレオ録音とモノラル録音に分けてみた。
レコードの枚数はそんなに多くはないし、不要なものはすぐに処分するようにしているので増殖もしていないのだが、現在の置きかたはまず「ジャズ」「クラシック」「その他」の三つのジャンルに分けた上でジャズは演奏者の、クラシックは作曲家の名前のアルファベット順に並べている。その他については枚数も少ないので適当に置いてある。
一見これで問題はなさそうに思えるのだが、実際にはステレオとモノラルで使用するカートリッジが異なるので、両者が混在した状態で置いてあるとレコードを手に取ってから必要に応じてカートリッジを交換するという事がままあるのである。
モノラルのカートリッジはDENONのDL-102しか持っていないのでカートリッジの選択には迷いはないのだが、DL-102はMCカートリッジ(出力が大きいのでMMポジションでも聴けるが音質を考えればMCポジションで聴くべきだと思う)であり、ステレオ用のカートリッジでよく使うものはシュアのM44シリーズやV15シリーズであり、それらはMMカートリッジなのである。
ということでステレオ盤の再生とモノラル盤の再生ではアンプ側の入力端子を繋ぎ変えなければならないし、またDL-102は重量級のカートリッジなので使用の際にはトーンアームにカウンターウェイトを追加しなければならない。

DL-102

こういう作業がアナログオーディオの楽しみだという人も居るし、僕も時にはそう思うのだが、ほんの5分ほどのこうした準備作業中に聴きたいという欲求がすこし冷めてくることもあるのだ。
なので、ステレオとモノラルはレコードを取り出す段階で明確になっている方が望ましいと今頃になって思った次第。
で、ジャンルごとに選別を始めてみた。
しかしながら中にはステレオなのかモノラルなのかの判別が難しいものがある。
ジャケットまたはレコードラベルに表示がないだけでなく、ネットで調べても不明のものも。また、太古のものは除くのだが1950年代以降のものはステレオとモノラルが混在しているし、中には双方のフォーマットでレコード化されているものもあるのでやっかいだ。やってみたらこんな感じ。
右の塊が「ジャズ」で、真ん中が「クラシック」なんだが、それぞれの塊の中にあるV字の隙間の左側がモノラル盤。こうやってみると「ジャズ」は全体の35%ぐらい「クラシック」は20%ぐらいがモノラルだった。

ささやかなレコード棚

話を大元に戻すと、「モノラル盤はモノラル針で聴くべきだ」とか「モノラルの方が音が太く、奥行きのある音像だ」とかいうのをよく聞くし、まったくその反対の意見も見受けられる。
以前は僕もそうだったのだが、オーディオファイルではない多くの音楽好きは一つのカートリッジで自分の持っているすべてのレコードを聴くものだ。それで何の問題もない。
でも、ひとたびモノラル盤をモノラル針のカートリッジで聴いて、その他の条件も揃っていれば、たとえば録音の良いレコードだったり、そもそも演奏そのものが良かったりすれば、モノラル盤はモノラル針でというのが自然な流れだと思う。
話が長くなってしまったが、暫くはモノラル盤を楽しみたいと思う。