首都圏の身近な私鉄を歩くシリーズの第二弾は江ノ島電鉄、ずばり江ノ電だ。
今日は6.0kmを歩いたので鎌倉駅を出発した江ノ電は一気に鎌倉高校前まで来てしまった。江ノ電全線のおよそ6割をあっけなく歩いてしまったのには少々驚いた。
いつもの歩き鉄では到達した駅に関わる思い出を中心の紹介に留まることが多いのだが、我が人生の大半の時間、身近に感じた江ノ電なので通過駅も含めた沿線の思い出も語っていきたい。
江ノ電に初めて乗ったのは1960年代前半、小学校に入学したころだっただろうか。その当時でも既に江ノ電はレトロ感たっぷりの路線だった。当時は今のような観光ブームでもなく、江ノ電は鎌倉と藤沢の海沿いに住む人たちの生活の足だった。
鎌倉から藤沢に移動するのであれば、横須賀線の上りで大船に行き、同じホームにくる東海道本線の下り電車に乗るのが最も合理的、所要時間も36分掛かる江ノ電に対し、乗り換えが良ければ20分も掛からない国鉄が圧倒的に早かった。とはいえ、江ノ電沿線の友人に会いに行く時や通学の帰路を遠回りして江ノ電の車窓からのんびりと海を見るのは素敵な時間だった。では、沿線の紹介の始まり始まり。
<鎌倉>
鎌倉と藤沢のどちらが始点でどちらが終点かというのは決まったものがあるのだろうが、鎌倉に住む人間にとっては鎌倉が始点というのが普通の感覚だ。
鎌倉駅の裏駅(西口)の国鉄のプラットフォームから一段低いところにある江ノ電デパートとよばれる平屋の駅舎から江ノ電は発車していく。暫く国鉄と並走してから右に曲がって由比ガ浜銀座の方に、由比ガ浜通りの踏切の傍らには瀬戸物屋と花屋が。そこを過ぎれば間もなく和田塚駅だ。
<和田塚>
この駅で下りたことはない。なので何の思い出もないのだが、この駅近くの鰻の名店「つるや」のうな重は美味い。ただし出前でしか食したことはない。
<由比ガ浜>
和田塚駅から由比ガ浜駅の間の線路は真っ直ぐだ。走りくる(走り去る)江ノ電、踏切を渡る人、線路際の家々が望遠レンズで圧縮されたような画の中に納まるのが印象的だった。
後述する長谷に住むT君と、由比ガ浜駅近くのビリヤード場に時おり思い出したように球を撞きに行ったりした。もちろん紅白の四つ玉。僕たち二人のあまりに稚拙な技術に店の親爺さんが呆れていたのを思い出す。
<長谷>
鎌倉を出て最初のすれ違いポイントとなる駅。
この駅のすぐ近くに友人のT君が住んでいた。T君とは小学校~中学校~高校~予備校~大学が同じという長い付き合いだ。しかも小学校から高校の12年間のうち10年が同じクラス、今考えるとビックリするほど数奇な運命だ。今はT君は東京に、そして僕は神奈川に住んでいるので10年以上会っていない。コロナが終息したら近いうちにまた会いたいものだ。
高校時代、T君は江ノ電を通学に使っていたが僕は国鉄ルートだったので日頃の通学で会うことはあまりなかった。しかしながら、中間試験が終わった日の午後なんかに江ノ電に乗ってT君の家に遊びに行ったりしていた。
T君の家でしばしばすることはなんと登山ゲーム(アルペンゲームだったかなぁ)とよばれる双六ゲームだった。たしか頂上近くのポイントで「2」か「4」が出てしまうと滑落してやり直し、そこをなんとか通過しても頂上直下で「6」が出たらまた滑落みたいな単純な双六だったのだが、やってみるとこれが面白い。時間を忘れて没頭していた。小学校から高校、いや大学時代にもやってたなぁ登山ゲーム。
<極楽寺>
長谷駅を出てしばらくいくと「権五郎」という和菓子屋があり、その近くにあるN君の家、ここにもよく遊びに行った。N君は鯉が大好きで庭の池で飼っていたなぁ。そこを過ぎるとトンネルに入る。暗くて狭いトンネルだ。トンネルを出たところが極楽寺駅。その後に何かのTVドラマでちょっと有名になったが、僕にとっては印象の薄い駅の一つでしかない。
<稲村ケ崎>
これまた降りたことのない駅の一つだ。駅から海岸は近い。古くは新田義貞が剣を投じて潮を引かせたと伝わる古戦場、そして近くは稲村ジェーンの舞台となった稲村ケ崎から見る江の島越しの富士山は絶景だ。
<七里ヶ浜>
この辺はサーフィンのメッカである。稲村ケ崎から鎌倉高校前までの長い砂浜沿いに多くのサーファーが集まってくる。しかしながら、良い波が立つポイントというのは限られていて、それを知らない初心者サーファーは一日中波待ちということになる・・・でもそれが楽しいんだよね。
七里ヶ浜といえば坂を登って行くと鎌倉にはここにしかなかったゴルフの打ちっ放し、そして上の駐車場のそばには珊瑚礁の本店がある(というか、昔は珊瑚礁は海外沿いには無かった)。ビーフサラダを食べてからドライカレーかピラフみたいなのが流行っていたなぁ。
<鎌倉高校前>
県立鎌倉高校の最寄り駅、地元民は「かまこーまえ」と呼ぶ。(地元民でなくてもそうか・・・)晴れた日にはホームから伊豆大島が見えるのだ。
もちろん中国人(台湾人??)やタイ人がたむろして写真を撮っているなどという異様な光景はなかった。
そういえば社会人1年生の時に虫垂炎に罹り、手術・入院をした鈴木病院もこの駅が最寄り駅。病院の屋上から見る大きな海が良かった。
次回のウォーキングでは藤沢駅までの残り4kmを歩くつもりなので乞うご期待。
親水公園のコブシが満開に。コブシとモクレンはよく似ているのだが、モクレンの花は全て上を向いているのに対し、コブシの方は横も下も向いた花があることらしい。
舟地蔵公園の植え込みの菜の花も綺麗だ。