昨年同様に今年もソメイヨシノの開花は早かった。ソメイヨシノに限らず、紅梅、白梅、花桃など春に咲く花全般の開花が早まってきていることを実感した早春だった。地球温暖化だけが原因ではないかもしれないが、この冬は親水公園の池の氷を見ることもなく過ぎてしまったのは事実だ。
桜とひと括りにするのは乱暴なので身近な桜を大雑把に分類してみる。
① 親水公園の河津桜
1月下旬ごろから咲き始め、2月が盛り。3月上旬には葉桜となるがソメイヨシノに比べると開花している期間は長い。木は小さめだが花はピンクの色濃く、葉は鮮やかな緑だ。
② 大庭城址公園のソメイヨシノ
東京の開花宣言から5日ほど遅れて開花する。樹齢の高い大木もあり、見応えがある。コロナが沈静化したおかげで今年からは満開の木の下での花見酒も復活した。公園内にはオオシマザクラもあってほんのりと緑がかった清楚な花を咲かせている。
③ 引地川親水公園のソメイヨシノ
ウォーキングのホームグラウンド。大庭城址公園と同時期か数日遅れで開花する。川沿いの遊歩道の天神橋と大庭鷹匠橋の間、約800mの両岸に並んでいる。河原に棲息するセイヨウカラシナの黄色と遊歩道に点在するユキヤナギの白に相まって優しい春の色どりとなる。
④ 蓑毛の薄墨桜
昨年から訪れるようになった桜の名所。これはエドヒガンの古木だが、周囲に桜の類がないので孤高の存在となっている。足元の菜の花畑の黄色との対比も素晴らしい。
⑤ 出雲大社相模分祠のソメイヨシノ
蓑毛の薄墨桜を観たあとは山を下って出雲大社相模分祠に立ち寄ることにしている。境内のど真ん中に聳え立つソメイヨシノの大木が良い。脇に立つ大ぶりの枝垂れ桜も見事だ。此処から秦野中井インターチェンジに戻る際に通る「秦野さくら道」の桜並木も見応えがあって楽しめる。
毎年この①〜⑤を基軸にいくつかのバリエーションも加えて桜を楽しむことにしている。
鎌倉に育ったので段葛の桜並木の下を小学校に通っていた。それこそ桜のトンネルの様に張り出した枝ぶりだったのだが、数年前のリニューアルで全てが若木に植え替えられ、かつての景観は消失してしまったことがまことに残念だ。
鎌倉山のバス通りの桜も、多くが古木となってしまい、花の数が減ってきたように感じられる。
たった数日のために多くの手間と費用を要する桜の景観を保つにはその環境を長期的な視野と体制で整える必要があり、それができないところの桜は衰退していく。残念ながら鎌倉市はその点に於いて優れていなかったということかもしれないし、秦野市はそれに長じていたのだろう。結果が誰の目にも分かることだけに残酷でもある。
というような偉そうなことを言っていても、また一年後のこの時期になれば桜見たさに落ち着きを失うのは目に見えているのだが。